Panasonic NV-FS900の修理

バブル期パナソニックの高級S-VHSビデオデッキです。
1989年製 定価\180,000という、まさに往年の名機!


※画像を多用していますので、表示に時間がかかると思いますがご了承ください


東芝のA-E50がカラーノイズまみれで、ビデオのダビングに使えたもんじゃない状態になっていました。電解コンデンサの容量を片っ端からチェックしましたが、どれも誤差の範囲内。アッパードラム(ヘッド)もヘタってるし、こうなったら松下のバブル期のヤツでも買うか〜 ということになりました。ハード・オフに行っても、松下の高級S-VHS機にはそうめったにお目にかかれないので、ここは諦めてYAHOOオークションで入手することにしました。
欲しいと思っている機種はNV-BS900とNV-FS900のどちらかなんですが、にが氏やimomushi氏のHPを見ていると、
NV-FS900:音質が非常によい。ビデオイゴライジング機能が豊富。画質もなかなか。
NV-BS900:「新快速メカ」で早送り/巻き戻しが早く、その状態から停止・再生への以降時間が非常に短くストレスが無い。BSチューナー内蔵。

とのことでした。デザイン的にはNV-FS900の方が気に入ったので、こちらをねらうことにしました(ほかもに理由はあったが)。

YAHOOオークションで、にが氏やimomushi氏もこの人から落札しているだろう某氏から、大量のS-VHSジャンクビデオ機が出品されていました。そこに運良くNV-FS900があったのです。値段は\2000。\2500で即決となっていました。残り1日ありましたが、すぐ欲しかったので\2500で即決落札しました。


この重量感がたまらん・・・

★故障の症状は「音声は出るが、映像が出ない」でした。NV-FS900では映像が出ない(真っ暗)という症状が多発しているようで、この原因はHICに載っているチップコンデンサが噴くことによって起きるのだそうです。しかーし! たかがコンデンサの不良だけだろうと甘く見ていた私がバカでした・・・
あと、後に分かるのですが、この機体は購入後に1度もメンテ・修理が行われていないものでした。



HICを調べる
にが氏のHPでは「松下のビデオデッキは、映像が出ない(もしくは乱れる)ときは第一にHICを疑え!」といった感じで説明されていますので、今回の故障もこれが原因だと予測されます。

ぶんか〜い!(分解)
これが映像処理ブロックです。空間を上手く利用して、メイン基板にサブ基板が3枚垂直に刺さってます。
中央に見えますのがHIC(正式名称?)と呼ばれるユニットです。サブ基板に垂直に刺さっているやつです。
ここに載っているチップコンデンサが噴いているのです。ちなみに、このユニットが駄目になるとS-VHS映像が出なくなるそうで・・・
HICの載っているサブ基板をはずすには、メイン基板から分離しなければなりません。黄色の円で囲った端子を取り外すわけですが、私はハンダ吸い取り器吸い取り線は使いません(というか持っていない)。これらの道具は基板上からハンダを取り除いて、くっつかっている物を取り外すのですが、私の場合は逆です。ハンダをのせて取るのです。
まず端子をハンダでブリッジ状態にして、それをコテでまんべんなく熱しながらサブ基板を引き抜きます。すると意外とあっさり取れます。こちらの方法が取り外し作業に時間がかからなくてよいです。注:慣れないとパターンを剥がす可能性あり
そして問題のHICを取り外してチップコンデンサを取ります。恐ろしく噴いてました。あと少し遅かったら基板も道連れになっているところでした・・・
ハンダを当ててチップコンデンサを取ろうとしましたが、噴いた電解溶液がコンデンサの足に付着していて熱が伝わらないのか、とれませんでした。そこで、ニッパでコンデンサを破壊して取りまずしました。
そして同容量の電解コンデンサをとりつけて完了。

第2のHIC(?)を調べる
にが氏のHPによれば、FS900にはもう1箇所ヤバいところがあるそうで。

下の写真がそうです。右の写真は金属カバーを取った状態の、第2のHICの内部。
ちなみに、買うと\4600もします。
これも恐ろしく噴いてました。電解溶液で基板を腐食させていました。ここが駄目になると映像が全く出ないようです。


コンデンサはニッパで取ろうとすると「ポロッ」と基板から落ちてしまいました。基板パターンも、緑のコーティングを剥がしてハンダを付けようとすると、あっという間に剥がれ落ちてしまいます。
基板が半分腐食しているので、コンデンサの張替えはパターンをテスターで読んで、貼り換えることにします。

そして、なかなか通電しないのでテスターの測定棒を少し強くあてたとき・・・・ ポキッ!
わ、割れたぁあぁ〜〜〜
なんとも無残な姿に・・・・ 今までの2時間は何だったんだーーーーー
その後ろ側です。この基板はガラス製の3層基板みたいです。3層なんで修復は不可能です。ヒェー ウヒェー ウッヒョッヒョー!!!
その後も,何とか修復できないかと粘ってみましたが、無理でした。
ちなみにこの作業中、この基板のせいで指を3箇所切りました。血だらけになりながら「4600円も払いたくねぇ〜よ」と心の中で泣きながら粘りに粘ったのですが、ダメでした・・・
結局、この部品を注文することになりました。くぅー \4600はつれぇー
TH-32WD10をもらった店で注文してきました。大型家電店だと恐らく相手にしてくれない感じなので・・・

2003/03追記
このVCR0299Aですが、現在ではC5AA00000137という型番となっている場所もあるそうです。値段も\3800と値下げされており、HIC本体にはVCR0299A-1と記されています。
品番 VCR0299A
品名 IC
価格 4600円


カセコンのメンテナンス〜

ビデオテープを挿入口に入れるとき、なかなかうまく入ってくれないのでカセコンの挿入感知接点を清掃することにします。(これから起こる悲劇を知らずに・・・・)
カセコンを取り外し、黄色の円で囲った部品を取り外します。これが購入感知接点で、ツメで引っかかっているだけなので簡単に取りはずすことができます。
それをまた分解します。スライド式のスイッチで、基板にはフォトトランジスタも載ってます。
スライドする部分にCRCを吹き付けてゴミを除去して完了。接点グリスを塗るといいらしいですが持ってないもので・・

あとは元に戻して完了 めでたしめでたし・・・・ 

と、いうわけにはいきませんでした!
なんと、元に戻してテープを挿入すると内部でギュルルル・・・・と言ってテープを吹き出してくるのです。
うわぁー やべぇー やっちまったーーーーー
なんせ、ビデオデッキのメカに触るのはこれがはじめてなもんで、きちんと元に戻したつもりなのですが、どこかで何かが狂ったようです(泣)。

メカの裏側を見ながら、一体全体どういう状況なのか確認していくことにします・・・
すると、どうやらモーターがプーリーを回そうとしているのですが、何かにひっかかって回りません。そしてテープを排出して勝手に電源が切れるのです。
こうなったらメカごと徹底解析だぁーーーーー で、メカを外してみました。スバラシく頑丈なつくりですね。東芝のA-E50とは大違いです。
この状態でいろいろやってみました。ピンチローラーを外してカムと接しているギアの位相を合わせたり・・・(実はこのギアの位相はずれていなかったと思います。そして、この無駄な作業があとで大変なことに→→→) そしてそれは起こる。
ピンチローラーが吹っ飛んだぁぁぁーーー
あまりにも適当にカムを組み込んだせいか、本体に戻して動作させるとグググググ・・・といって次の瞬間、ピンチローラーが10cm上空に舞い上がったのでござる! うへぇー おっかねぇ〜  最終的に、にがHPのNV-FS90の記事を参考に戻させて頂きました。全くのゼロからの経験ですので、ここの問題をクリアするのに1時間かかりました・・・(バカ)
次に、カセット挿入後、どのようにしてひっかかっているのかを見てみます。写真で矢印に示してあるプランジャを、下に下ろし、センタープーリーを手で回転させることでメカの動作を手動でさせることができるそうです。そこで、それを実行・・・ すると、確かにビデオテープが固定されてから、プーリーが回らなくなります。うーん、なんだ?ギアの位相ずれか?
結局、カセコンに動力を伝えているギヤ(赤い円で囲ったとこ)の位相がずれていただけでした。実は、この結論に至るまでに様々なことがあったのですが、いろいろあって忘れてしまいました(爆)。原因追求まで4時間くらいかかってしまった・・・
プーリーを回してきちんと動作できる用に位相合わせして めでたく完了!

スイッチング電源のメンテナンス〜


詳しく書いた記事を別に作りました。

ぜひ御一読下さい。


補修用部品が届きましたよ〜ん♪

注文して、なんと2日後に「部品が届いた」との連絡を受け、取りに行ってきました。それにしても早いですねぇー
左が新品、右が旧品です。
新品HICの基板を見ると、色が違います。おそらくこの基板だと、ハンダゴテを当てたときにパターンが剥がれるようなことは無いかと思います。
HIC取り付け完了ーーー
あとは元に組みなおして完成です。
動作させたところ、きちんと絵が出るようになりました!!
しかし、なんか赤がどきついというか、輪郭が赤っぽいんです・・・
そこで、半固定抵抗をいじることに。 この機体には(というか松下のバブル期の機体はほとんど)、半固定抵抗が鬼のようにあります。回されちゃマズい(というか自然に回りやすい?)ものはホットボンドで固定されています。
今回の調整個所は、先ほどのHICの載っている基板についています。「CNR PHASE」とプリントされている半固定抵抗を探し、これをテープを再生しながら回します。正確な色が出るところに合わせれば完了。
さらに、カセット挿入口カバーのバネが無くなっていたので、NV-H5から移植。若干加工して取り付け。


ヘッドの状態

見てのとうり、アッパードラムはかなり磨耗しています。精神衛生上、一応アルコールと綿棒で掃除しときました。
それと、この機体は89年製で初期ロットでした。

続いてオーディオ回路拝見ー
◆オーディオブロックです。この回路にはすべて音響用の電解コンデンサが使われています。L/Rツイン回路です。


◆回路中央部に縦に線が走っていますが、これは銅版です。銅版のGNDを境にLeftとRightが分離しています。
白の四角で囲ってある文字には「FM AUDIO CIRCUIT Lch(とRch) BLOCK」と書いてあります。
電解コンデンサはもちろん、緑色のマイラーコンデンサーも音響用っぽいです。スゴく徹底してますね〜 



修理完了〜〜〜

これでやっと動作できるようになりました。いまのところ録画・再生ともに問題ありません。早送り/巻き戻しはNV-SV1に比べるとさすがに遅いですが、ブレーキングはしっかりしてます。早巻き中に再生ボタンを押しても、「カツン」と一瞬でとまってくれます。いやーぁ 気持ちいいもんですな。

そして肝心の画質の方ですが、かなりキレイです! 手持ちのNV-SV1と比べてしまうと多少落ちますが、でもこっちの絵のほうが私的には好きです。デジタル加工もされてませんし、素直でイイ色合いだとおもいます。アモルファス・プロヘッドのおかげですね。
音に関しては、断然こちらのほうが良いです。低音と高音が強調されているような感じですが、聞き疲れはありません。ダビングの送り側に使うには十分かと思います(ダビングはめったにしないので、コレは自分の部屋で使おうかと思います)。
(9/3追加)音質に関しては録音性能を調べるため、CDプレーヤ→FS900とCDプレーヤ→MD(デジタル録音)でMHC-J970EXのスペアアナを使い音質を比較しましたが、MDとほぼ同等の音質であることが分かりました。ちなみにこのとき使用したテープは普通のVHSテープですので、S-VHSテープだともっと音が良くなるかもしれません。

今回の修理金額:本体(2500円)+VCR0299A(4600円)+電解コンデンサ(すべてジャンク基板からの取り外しなのでタダ)=7100円也。コジマとかで売っている安物のペランペラ〜ンなデッキとは根っこの底から違いますから、この価格は満足してます。


本体の紹介

このどっしりとした形がGOOD! 私は「小さいもの」ではなく「デカいもの」が好きですから・・・・
ビデオ・イゴライジング機能です。「黒レベル」「色合い」「カラーレベル」「画質」を調整することができます。「色合い」「カラーレベル」はともかく、のこりの2つはホント微妙にしか調整できないことがわかりました。スライド抵抗の値を変えればもっと広い範囲で調整ができるかもしれないけど、そこまでやる気はありません。
時計を設定すると、電源ON時に、時刻に合わせた挨拶をしてきます。写真は「GOOD AFTERNOON」と表示しようとしているところです。電源を切るときには「SEE YOU AGAIN」と出ます。今のコンポの原型がここにあったって感じ。
レベルメーターです。ちょうどレベルメータの下に録音時のレベル調整があるので、とても使いやすいです。
今のビデオデッキとは違い、映像端子・音声端子が離れています。この理由は言うまでもなく「映像・音声独立回路」だからです。高画質&高音質の理由はこれにあり! 音声端子は金メッキです。でも映像端子は金メッキじゃないです。うーん。初期ロットだからか?



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